一口に接着剤と言っても様々なものが販売されており、使い分けることがきれいに作るコツと言っても良い。
プラモデルに使われる代表的な接着剤を簡単に解説。
溶剤系
一般にセメントと呼ばれる。プラを溶かして溶着させるので接着力が強く、プラモデルに用いられる最も一般的なもの。溶剤が乾燥することでヒケが起きる。
概ね3日乾燥すれば良いとされるが、完全乾燥には一週間ぐらいかかると思っていたほうが良い。室温・湿気・季節に左右されやすい。
基本的にPS専用でありプラスチック全般に使えるわけではない。
樹脂入り
透明のPS(スチロール樹脂)が入った溶剤系接着剤。一般的にとろみがある。
とろみは製品によりまちまちで、ほぼサラサラの状態の物も存在する。
樹脂入りなので合わせ目消しに使用され、きちんと手順を追えば流し込みタイプと比べ乾燥後平坦にすることが容易である。
「黄色く変色する」「透けたようになる」こともあり無塗装派には人気がない。
濃度が濃くなった場合、多少なら模型用ラッカー塗料で使うツールクリーナーや溶媒液で調整も可能。
流し込み
前項のセメントからPS(スチロール樹脂)を抜いたものと理解すれば良い。接着剤自身にPSが入ってないのでサラサラしている。
構造的にはプラモ側のPS樹脂を溶かして溶着するのみなので乾燥すればヒケにより合わせ目が窪みやすい。
反面モールド化されている合わせ目など、平坦にする必要のない接着には接着後の処理が簡単なことから、今最も使用されているタイプの接着剤だと思われる。
通常タイプ
速乾タイプ
ABS用
ABSはPSにくらべて溶剤に弱いとされ、専用の接着剤も出ている。
ただ物によってはPS用のセメントの方が強く接着するとする方もいらっしゃる。
このあたりは考え方次第で使い分けてくしか無い。
ただ専用接着剤が出ているということは何かしら不具合が起こることも予想されるので、使い分けにはそのあたりも考慮した方が良い。
ノリ系
被着体(くっつける対象物)同士の間に接着剤が接着層を形成することで固定する。
瞬間接着剤
一般的にシアノアクリレートが使われているため、瞬間的に固まり白化する。
つまり瞬間接着剤が瞬間で固まるのも白化するのも同じ理由なので、白化を嫌がるなら瞬間接着剤は使用できない、ということになる。
金属やパテの接着に使用する方もいらっしゃるので、広くプラモデルには使用されている。
概ね衝撃に弱く、プラよりも固くなるので工作には向かず、使い所は選んだ方が良い。
衝撃に弱くなる原因は瞬間接着剤が固くなるためで、柔らかい方が衝撃に強くなる。金属用とされているものは一般用よりも比較的柔らかい傾向があるので、一般用よりは金属用とされている物を選ぶと比較的衝撃には強いと思われる。
エポキシ系接着剤
エポキシ樹脂と硬化剤による2液混合タイプの接着剤。
主にクリアパーツ、金属やレジンの接着に使われる。プラモデルではメジャーな接着剤。
やや扱いづらく、2液の比率もピーキーで完全混合が必須。爪楊枝のような棒状のものよりも、ヘラ状のもので混ぜ合わせるほうが確実に手早く混ぜ合わせることができる。
温度に左右されるので若干の慣れは必要。硬化時間は多めに考えておいたほうが幸せになれる。
各種樹脂系
エポキシ樹脂以外にも各種樹脂を使った接着剤があり、プラモデルにも使えるものがある。
写真は愛用の「セメダイン ハイグレード 模型用」。水性ウレタン接着剤。クリアパーツの接着などに使われる。
エポキシ系に比べて接着力は弱いが、そのまま使える、はみ出しを水で拭き取れるという手軽さがある。
他にもアクリル、シリコン、ゴム、塩化ビニール等。中にはハネムーン接着(2液タイプだが混合せず貼り合わせでOK)できる接着剤がある。
エポキシより手軽
ハネムーン接着可能
PP、PEの接着
何かしらの理由により(ポリキャップの破損など)、PE(ポリエチレン)の接着をしたいと思う場合もあるかと思われる。
過去このページでは「スーパーX Hyperワイド」を紹介していたが、セメダインさんのTwitterで専用接着剤「PPX」というものを紹介していたので変更させていただく。
各種レビューなどではプライマーがやや賛否分かれるようだが、接着力は申し分ない。
こちらは瞬間接着剤となっている。