下地は相反する考え方を基本とする部分もあり、最終的に自分がどこで折り合いをつけるか?がポイントとなる。
個性にも繋がる部分なので、自分で可能な限り試しては試行錯誤し、その時々で最良の答えを見つけ出してほしい。
カラー別下地作り
ソリッド・カラー
基本的に下地色は白。意外と隠蔽力がある色に思えても、並べてみると成型色の影響を受けていたりするので、色替えなどで成型色が違うパーツを同じ色で統一するには、やはり白下地で統一したほうが良い。
白下地が基本というのは簡単な理由で、細かい話をすると実は白と黒は色ではない。
白はすべての色が最大限明るくなった状態であり、黒はその逆。色を活かすには白、色を殺すには黒ということになるからだ。
黄色など発色の弱い色は白下地だと白の発色に負けてしまい、発色できないという可能性もある。この場合、隠蔽力のある同系統の色を下地として塗るのもあり(黄色なら明るいベージュなど)。
下地の凹凸には左右されにくい。塗膜を薄くしたいならより平滑に。ただし、1000番のヤスリでプラの表面が荒れていても、きちんと塗装する過程で意外と隠れてしまい、結果的にあまり変わらないことも多い。
メタリック・カラー
下地色
メタリックの下地は黒という定説があるが、この定説は守り抜く必要はない。
メタリック色にも色味というものがあり、隠蔽力の低いメタリックはやはり影響を受ける。GSIクレオス Mr.ColorのC8 シルバーやC104 ガンクロームなどは隠蔽力が強く影響を受けにくいが、C90 シャインシルバーなどは隠蔽力が弱く影響を受けやすい。
ガイアカラーの122番スターブライトゴールドなどは黒地だと赤金のようになるが、白地だと青金のようになる。
要は、黒地であれば重みが出るが、白地になると軽くなる。金属は重いものばかりではないので、軽さも重要な表現と言える。この辺りは表現の幅として頭の隅っこにでも残しておこう。
下地の状態
メタリック感は下地の凹凸に影響を受ける。凹凸が激しければよりつや消し状態になるし、平滑であれば艶有りになる。ヤスリの1000番でも違いが出るので、光を反射するギラギラ感を求めるならより平滑にする必要がある。コート剤でコートしても、メタリック粒子がきれいに並ばないので、ギラつかせたいときは、やはり下地の状態をより平滑にする必要があるといえる(要するに、光沢が出るぐらいに磨く必要がある。)。
サーフェイサーの1500番では、こういった状況にも対応しているようではあるが
SM08メッキシルバーNEXTには対応しておりません。そのままでは綺麗な鏡面が出せませんので、サーフェイサー表面を磨きあげるか、光沢のブラック塗料を吹くなど、別途処理が必要です。
とのことである。
以下の引用元 Mr.Hobby公式webの商品説明ページを参照してほしい。
キャンディー塗装
特殊塗装としてキャンディー塗装を上げる。
キャンディー塗装の肝は、下地に塗るシルバーのメタリック感が重要になる。基本的には鏡面になるようなシルバーが適している。つまり光の反射が強いシルバーだ。
シルバーの反射が重要なので、黒下地にする必要はない。よほど薄いクリア色を使用しない限り変化はない。後述する下地によるキャンディー色の違いを求めるなら、反射の違うシルバーを使用しよう。
隠蔽力と下地色
隠蔽力のない色は難しい?
初心者であればそう感じるかもしれない。しかし、考えようだ。隠蔽力のない色は「表現の幅がある色」と捉えることもできる。
下地色で色をコントロールして、何色にも塗り分ける。
下地の基本はあくまで白だが、下地色をコントロールして色味の統一を保ちつつ、塗り分ける」ことも可能だ。
これは赤いモビルスーツを作る場合、下地色を白やグレーで予め塗り分けておき、隠蔽力のない同じ赤の塗料で上塗りを行う。下地の透け具合で赤が変化することを利用した塗装法である。事前テストと慣れが必要ではあるが、こういう考え方もできるという一例である。
食いつき
塗料に食いつきを求めるなら、下地を何らかの方法で荒らす必要性がある。これはプラの表面に凹凸を作ることで、塗料とプラが接する表面積を増やすことで実現する。
GSI クレオス ホビー部の佐藤氏の話によれば「ヤスリがけなら、600番~800番が最も適している」ということだ。サーフェイサーはヤスリの番手に比べて細かくなるので、500番のサーフェイサーがこれにあたる。
食いつきの点ではここから番手が上がるに連れて、当然効果は弱くなってく。前出の佐藤氏いわく「ヤスリの2000番ではむしろ逆効果で、塗料を弾くようになってしまう。」とのこと。
推測で申し訳ないが、これは2000番のヤスリでできる凹凸には塗料がうまく入り込めす、結果、塗料とプラの接する表面積が、平滑な表面積より少なくなってしまうということだと思われる。
サーフェイサーを使用しても、ヤスリで削っても、両方使ってもいずれも正解と言えるが、サーフェイサーを使えばその分塗膜は厚くなる。
塗膜が厚くなることのデメリット
- 駆動部、可動部への影響(クリアランスを取る必要性が出てくる)
- パーツ合わせの不具合
- 重ね塗り時に塗膜破損の危険性アップ(塗膜強度と収縮の違いによる)
- ディティールの消滅
可動部への影響、パーツ合わせの不具合が一番問題になると思われる。
塗膜の破損は重ね塗りの可否と、完全乾燥のルールを守れば殆どの場合回避できると思われる(保証はできかねるが)。
ディティールについては個人鑑賞ならば自分の感性でOKなら問題ない。
一般的に厚塗りは嫌厭される傾向にあり、他人に見せる場合は事情が異なる。特にコンテストやコンペなどでは厳しい評価を受ける原因にもなりかねない。ただし、厚塗りが個性にまで昇華されていれば、この限りではない。
総論
発色を求めて平滑な下地を作っても、食いつきを求めて全て荒らして下地を作っても、自分なりに試行錯誤して作っても、結果が全てである。出来上がったものが自分の価値観で格好良ければ良いのである。
表現に関わる部分なので、他人に押し付けてはいけない。
GATAGATAの場合
最後に、参考になるかどうかわからないが、自分の場合を書き記しておく。
- パテ造形の場合は、必要に応じて目止め剤としてサーフェイサーを使用する。
- レジンの場合、溶剤漏れ対策として、気泡埋めとしてサーフェイサーを使用する。
- プラモデルの場合はヤスリによる下地処理が基本。もちろん大きなヒケや傷の処理が必要ならばサーフェイサー(捨てサフ)やラッカーパテを使用する。
サーフェーサーを使用すると”もっさり”した感じが嫌になるのでサーフェイサーは極力使用しない。自分にとってサーフェイサーは、パテ造形(レジンを含む)のお供なのである。
ヤスリがけに関しては整形ついでに行ってるのが実情。平面に関してはソリッド感を出したいので、~1500番でほぼ必ず整形している。曲面に関してはやらないこともあるが、”ここはやる”というポイントがあるので、そこは必ず平面と同じく~1500番で行う。
”こいつは本気で作るぞ”的なときは、もちろん全部するが…(;´∀`)
コレクション的なものは思い入れが少ないので手を抜く。
メタリックに関しては隠蔽力のある塗料を使う時は、パーツ自体を磨いてしまい下地もなしに済ませる(特にコレクション的なもの…)。
本気モードのときは下地色にも凝って、隠蔽力のない色を使う(たぶんね…)。
塗料の食付きについて(2時間34分40秒頃)