非常に使い勝手の良い紙ヤスリのような金属ヤスリ、雲母堂本舗のITASANをご紹介する。模型専門店さんでも取り扱いがなかったり、入手は少々困難かもしれないが、ネットで買えるところもあるので、ネットショップの利用に慣れている方ならそんなに苦労することはないだろう。
雲母堂本舗について
初心者には馴染みのないメーカーさんだと思うので、ざっと説明を行わせていただく。
雲母堂本舗はパール塗装の第一人者、石川雅夫氏が主人を務めるメーカーさんである。石川氏は現在のC3AFA(2019年現在)の前身イベントの一つ、JAF-CONにて模型コンテスト金賞を受賞された。
当時のことはご自身のブログにて語られているので、そちらを参照していただきたい。
(現在リンク切れ)
雲母堂本舗といえばパール、というイメージを持たれている方も多いと思う。イメージ通り、パールに関して非常に多彩かつ繊細なラインナップをお持ちだ。
ガイアノーツさんのサイト内で公開されている雲母堂無駄噺大系では、パールについて解説、製品ラインナップが閲覧できる。
そんな雲母堂本舗がリリースしている工具の一つがITASANである。
360度、どの方向にも削れる
金属ヤスリというと目に方向があり、パーツ形状によっては「使いにくい」という印象があると思う。
これに対してITASANは金属ヤスリなのに目の方向がなく、360度どの方向にも使えるという紙やすりのような削り方ができるのが最大の特徴と言える。
写真上が「中目」写真下が「細目」。
見ても分かる通り、金属ヤスリ特有の目の構造をしていない。細目などは鮫肌という表現が適していると感じる。
ヤスリというよりはわさびなどをおろす「おろし金」を見ているような印象だ。
このような目の構造を持っているので360度、どの方向にも削れるのだ。
※写真はITASANにNTカッター製D-400P接続部分と雲母堂本舗製のアモグリップを装着しています。
とのことなので、このレビューでいうと「中目」は回転研ぎ向きではない、ということになる。
多彩な形状で細かく対応
形状はウェハ型、コテ型、剣先型、短冊形の4種がリリースされており、それぞれ使い勝手が違う。
自分はウェハ型、コテ型、剣先型を所有。
ウェハ型、剣先型、短冊形はそれぞれ使い方が想像しやすいと思われるので割愛するが、反面、コテ型の使い勝手は想像しづらいと思うのだが、
写真のように細かい多段の形状だと紙やすりを折りたたんで使いたいケースもあるが、当て木が非常に使いにくい。
そのようなケースなどにコテ型を用いると、当て木付きの紙やすりのように使えるので、非常に楽だ。
使い方は勿論自由ではあるが、「紙やすりを折って使う」という場面は意外とある。このコテ型はそういう場面でも活躍してくれる。
入手しやすいのは3種
自分はネット上で入手したのだが、入手しやすいのは「細目」「中目」「万能」の3種。本当は「粗目」「中目」「細目」「仕上げ目」「万能」といった目がラインナップされているらしいのだが、流通に乗ってないのか入手できるのは3種だけである。
Twitterなどを拝見していると、3種以外もイベントなどでは販売することもあるみたいなので、興味をお持ちの方はTwitterをチェックするといいだろう。
イベントなどは家族同伴のため時間が限られ(混雑時になってしまう)、車椅子移動の自分にとっては敷居が高い…(;´∀`)
雲母堂主人(https://twitter.com/kiraradohmaster)
各目印象
自分の使用感である。あくまでも「個人の感想」なのでツッコミはご容赦願いたい。
最終的に自分の手順で、プラをテカテカの光沢状態まで磨き上げることでの評価である。
細目
おそらく600番近辺と思う。そう思うのは超精密で傷が消せるから。
滑るような削り出しで慣れないと「あれ?」と思うが、削れている。
中目
おそらくは400番近辺。表面の状態によって削り出しの印象が変わると思う。
実は自分の手順では万能で削った傷を細目で仕上げていくと、万能の傷が消えてないことが度々起きた。万能の傷は400番のヤスリを入れることで自分の手順で消すことができたので、自分の感覚で作業をすすめるのに急遽追加購入した。
実はうまくいくのかヒヤヒヤしたのだが、ドンピシャでハマった。
万能
おそらくは最大で320番近辺の切削力。240番より細かく、400番より粗い印象だったので320番としている。ヤスリらしい手応えを感じる切削感。
自分の感覚では細目使用で傷を消せないという事態が度々起きたので、以下のツイート(石川雅夫氏の個人アカウント)を見つけて、中目で行けるかもと思い中目を購入した。
自分は元々筆圧が強く(握力は弱い)、ついつい力が入ってしまう方なので、おそらくは最大切削力になってしまうのだと思う。
そのくせ自分の現在の状態は、手の力加減がオンかオフしか無いような状態で、微妙なコントロールは不可能。なので道具でカバーする良い例だと思われる。
結果、自分の感覚で進めて、自分として理想的な光沢面を得られるようになった(^^)
当て木に使うことも可能
細かい箇所を剣先型のITASANを使用して削ったは良いが、仕上げまで持っていけないというケースも有るかと思う。この様な場合は紙やすりをITASANの裏側に両面テープで貼り付けると良い。
自分の場合は
- 万能→800番
- 中目→1000番
- 細目→1500番
の紙やすりを裏側に貼り付けて、仕上げまで一気にできるようにしている。
コテ型も同様にして使っている。
こういう使用法も想定して、裏側は平面になっているとのこと。
リンク
文中にもあるがウェブなどのリンクをまとめておく。
- 雲母堂主人 (twitter)
- 雲母堂無駄噺大系 (ガイアノーツ内の雲母堂ウェブサイト)
- MMI(髭と眼鏡とIOL) (twitter:石川雅夫氏の個人アカウント)
- 模型新思想大系 (個人?のブログ?)現在リンク切れ