論争を呼びそうなネタであるが、それは筆者の意図するところではない。プラモデルは自由であるから、吹きたい人は吹いて、吹きたくない人は吹かなければ良いというのが結論である。ただ、初心者には”基準”が無いと思われるので、おおよその基準を指し示したいと思う。
サーフェイサーの正体

サーフェイサーはパテの仲間である。
使用目的
塗装の下地づくりに使用される。
主な使用目的は以下の通り
目止め
造形に用いるパテはエポパテしか使わない自分としては、エポパテのことしかわからないのでエポパテ限定になるが、エポパテで造形した場合、そのままでは塗料が乗らない。まるでスポンジに吸収されるがごとく塗料が流れてしまうのだ。
こういった場合、サーフェイサーで目止めを行う。要するに木工における砥粉(とのこ)と同じ要領である。パテ造形した場合、塗料を食いつかせるために目止め処理としてサーフェイサーを使用する。
また、ガレージキットなどに用いられるレジンの場合も同様で、レジンキットであっても細かい気泡埋め目的で使用する。またレジンの時間経過に伴う溶剤の漏れによる、塗膜の破損を食い止める意味で使用する。
パーツの傷やヒケを埋める
古いキットなどでは、傷やヒケが存在しヤスリで削るだけでは追いつかないケースも有る(削り過ぎになってしまう)。その場合、サーフェイサーを使いある程度埋めてからヤスリがけを行う。この工程を”捨てサフ”と言う。これによりきれいな表面を得られる。
なぜグレーが多いのか
立体視認を最もしやすいのがグレーである。他の色では視認が難しい細かなモールドなど顕著で、歪み・凹みなど簡単に視認できる。
このためサーフェイサーを吹くと、ディテールアップしたかのように勘違いしやすいが、モールド・エッジなど細部についてはディテールダウンしているので気をつけよう。
番手による違い
主な番手による違い
500番
溶きパテ。大きめの傷やヒケの修復に用いられる。
転じて鋳造表現などのディティールアップに使用されることもあり、最もパテとしての使用頻度が高い。これを用いても埋められな深い傷などの修復には、”ラッカーパテ”を使用する。
塗料の食付きに関しては最も効果が高いが、塗膜もその分厚くなる。
1000番
汎用性が高い番手。
傷を隠す能力は500番に劣るものの、細かな傷やヒケは十分に隠すことができる。塗料の食いつきもそれなりに期待できる。
1500番
傷やヒケなどの修復能力はほどんど無い。最終的な仕上げ処理として用いられる。
メタリック粒子がきれいに並ぶほどの細かさなので、塗料の食付きに関しては推して知るべしといったところ。どちらかといえば、隠蔽力のある発色用下地材という意味合いが大きい。
ヤスリとサーフェイサーの番手の違い
感覚的な理解はしていたものの、すいプラ内にて GSI クレオス ホビー部の佐藤さんに答えていただく機会を得たのでこの辺りを具体的に答えていただいた。
内容を要約させていただくと
- ヤスリとサーエイサーは基準が違う。サーフェイサーの方が細かく、ヤスリは荒い。
- 目安として、800番のヤスリで削った傷が、1000番のサーフェイサーで隠れない可能性が高い。
とのこと。
サーフェイサーとヤスリの番手について(4時間46分35秒頃)
水性サーフェイサーについて
GSI クレオスより2021年2月発売予定。水性サーフェイサーについてはすべてメーカー発表によるもの。
アクリジョンベースカラーとの比較
- 性質上アクリジョンでは不可能だったエアゾール化が可能。
- エアブラシの作業性は水性サフの方が扱いやすい。
- 乾燥速度に違いはない
- 食いつきについては違いはない
- 塗膜は曲げに対してベースカラーの方が割れやすい
- 粒形はベースカラーの方が大きい(粒形はサフの500番よりも大きい)
上塗りの可否
Mr.カラー | △(ベタ塗りはNG) |
水性ホビーカラー | ○ |
アクリジョン | ○(クラックは起きません) |
ケースバイケース
塗料の食いつきを良くする
500番が最も高く、1000番、1500番と上がるに連れて効果は薄れる。ただし500番では傷を隠蔽する能力が最も高いことから、モールドやエッジなどもうまってしまい、塗膜も厚くなる。
ヤスリよりもサーフェイサーは粒子が細かいので、1000番、1500番では、同番手のヤスリで下地を作ったときよりも、若干効果は薄れると言える。
下地処理ついては以下のページでく詳しく解説している。
ディテールアップ
何を持ってディテールアップと呼ぶのか?の解釈にもよる。
面を平滑にするという意味ではディテールアップにつながるが、モールドやエッジに関してはディテールダウンに繋がる。
効果は500番が最も強く、1500番では効果が低い。
サフって吹かなきゃいけないの?
これについては、川口名人の見解をご覧いただこう。(45分20秒頃)