環境
エマルジョンはw/oタイプとo/wタイプに2分されるが、水性とされる塗料はw/oタイプに分類される。つまり、主成分が水であるということ。有機溶剤が含まれるので、水性ペンキの仲間ということになり、無害とは言い難い。
体に優しい塗料の部類に入るが、換気には気をつけたほうが無難。とくに乳幼児のいるご家庭では、誤飲とともに管理には配慮することが肝心。
希釈
希釈には専用うすめ液を
希釈には専用うすめ液を使用することを強くおすすめする。性能が格段に違う。仕上がりに差が出るのだ。希釈に水を使用することは、性能を劣化させると言っても過言ではない。
また筆塗り時に”筆に溶剤を含ませる”セオリーがあるが、この場合も専用うすめ液を使用したほうが良い。モールドなどが塗れなくなる可能性がある。くれぐれも面倒がらずに、専用うすめ液の使用を心がけてほしい。
アクリジョン専用うすめ液は2種類が存在し、自分の好みによって使い分けることが幸せの鍵になる。現在は”エアブラシ用うすめ液・改”で統一と言うとだろう。
希釈率と種類
うすめ液 | 希釈することが目的の専用うすめ液(希釈剤)で、塗膜を溶かす能力はない(溶剤ではない)。 標準とエアブラシ用と別れているが、どちらでも使える。名称にとらわれず、自分の好みで使い分けると良い。 | 標準うすめ液。希釈率は塗料3に対してうすめ液1が基本。 リターダー成分が多めで、筆塗りにはこちらが向いているかと思われるが、あくまでもお好みで。(現在生産終了) | |
エアブラシ用うすめ液。希釈率は塗料2に対して1~2が基本。 こちらのうすめ液のほうが乾燥は早い。乾燥が遅いと思う方は筆塗りであってもこちらを試すのもあり。(現在生産終了) | |||
エアブラシ用うすめ液・改。希釈率は塗料1に対して0.3が基本。 明らかに前作よりは少量になる。 現在はこれ一本に統一…ということだろう | |||
リターダー | 他のシリーズ同様乾燥時間の調整用として使う。遅くすることはできるが、入れすぎに対して早くすることは不可能。 | リターダーマイルド。 標準うすめ液に変わり発売された。薄め液としては使えない。 | |
溶剤 | ツールクリーナー。乾燥後の筆やハンドピースの洗浄を目的としたアクリジョン唯一の溶剤。 | その名の通り洗浄を目的とした溶剤。 ラッカーの塗膜まで溶かす力があるので、修正には使えない。 もちろんプラも侵食しやすいので、扱いには注意が必要。 ※Mr.カラーや水性ホビーカラーのツールクリーナーとしても使えます。 |
推測で申し訳ないが、標準タイプは筆塗り時の、エアブラシ用はエアブラシ使用時の希釈率と思われる。また、標準タイプはリターダー(乾燥を遅らせるもの)が入っているということで”筆ムラを抑える”ことが目的のもの、対してエアブラシ用は”塗料の粘度を落とす”ことが目的のものと解釈したほうが良いと思われる。
ちなみに。自分は筆塗りで部分塗装に使っているということもあるが、基本的に希釈無しで使っている。
※現在、標準うすめ液は生産終了です
特徴
小売店などではまだまだ十分な理解が浸透しておらず、アクリジョンの間違った案内をしているようなので説明を多めにしておく。
重ね塗りの可否など、基本的な解説はこちら
固化した場合、復活は不可
アクリジョンは固化した場合、復活させる手段は無い。この辺りはエナメル塗料と同じである。
使用時には別の容器に必要な分だけ取り出し、瓶の口についた塗料を拭き取り、蓋を確実に締め保管するというクセをつけると良い。
ツールクリーナーに溶けるのでは?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれないが、その疑問に対してGSIクレオス ホビー部公式ツイッターでは以下のように解説している。
発色を補うベースカラー
長らくアクリジョンは発色が悪いとされてきた。事実白のパーツに塗ったときも隠蔽力のなさから、発色が悪かった。
この点については隠蔽力に優れるベースカラーの登場で改善された。
下地を塗るという一手間が加わるが、同系色のベースカラーを塗ることで発色の改善がなされる。また色数を補うためエナメルなど他の塗料を塗るのにも役立つので是非試してもらいたい。全部で6色発売されている。
水は劣化の原因
水でも希釈できるとされるが、性能が明らかに劣化するので専用うすめ液を使用することを強くおすすめする。引用した動画にもあるが、筆塗りのセオリーとして”溶剤やうすめ液を筆に含ませてから塗料を筆に取る”というのがあるが、”筆に含ませる”という微量の水ですら性能を劣化させるので、気をつけておきたいポイントだ。
修正は乾燥前に
他の塗料と大きく異なるのは、修正に使える溶剤が無いことである。
乾燥前、できれば間違えたらすぐ水を含ませた綿棒などで拭き取るようにしよう。もしくは完全乾燥後重ね塗りしてしまおう。ただし重ね塗りの場合塗膜も厚くなるし、別系統の色だと、色によっては発色が悪くなるので注意は必要だ。
また乾燥後に爪楊枝などで剥がす方法もあるが、必要な塗膜まで破損したり、剥がれるきっかけになりやすいので、注意が必要。やはり乾燥前に修正を終えておこう。
重ね塗りできる塗料は豊富
プラへの食いつきはラッカーに劣るものの、完全乾燥が絶対条件だが、重ね塗りに関してはラッカーと同等であり、ラッカーも重ね塗りできるという、基本塗装向きの比較的新しい塗料。
「エナメル溶剤で溶けた」とする報告もちらほら見かけるが、不完全な乾燥が原因と推測する。完全乾燥後にはエナメル溶剤では溶けない。完全乾燥には概ね1日以上かかると思っていたほうが良いが、季節、天候、希釈率、希釈に何を使ったか?等によってはそれ以上かかることもしばしば起こる。
重ね塗りによる塗り分け時の注意
凸モールドにラッカーなどを使い、その上からアクリジョンを塗り拭き取る、という場合には注意が必要である。
アクリジョンには、溶剤と言えばツールクリナーしか存在せず、乾いてからの拭き取りが事実上できない。手早くやっても、場合によってはラッカーなどの塗膜に食いついてしまう。
このようなやり方で凸モールドを塗り分けるには、凸モールドをアクリジョンで塗り、完全乾燥させてから他の塗料を上塗りし、拭き取る方が懸命であると思われる。
ABS塗装の下地にも使える
GSI クレオス の公式見解として、ABSにも塗装できるとしている。実際公式サイトのFAQや公式twitterにてアナウンスされている。
つまり、アクリジョンを下地に使えばラッカーも塗れるということである。
(ただし、関節部などへは関節に負担がかからぬよう軸などには塗料をつけけないこと、当然アクリジョンの塗膜からはみ出さぬよう注意が必要)
ポリカーボネイトにも塗装可能
GSIクレオス ホビー事業部 佐藤さんによれば、仕組みについては企業秘密ということで公開できないが、問題なく塗装できるということである。
実はそれだけにとどまらないアクリジョンの適正素材を見てほしい。下記はMr.Hobby公式Twitterで発表されている適正素材一覧だ。
アクリジョンでエアブラシ
アクリジョンのエアブラシ塗装は、ノズルが詰まって塗装しずらいという声もよく聞く。
自分のやり方ではあるが参考までに記事にまとめた。
下記の動画は GSI クレオス ホビー部の佐藤氏がゲストで登場された回で、アクリジョンだけでなくガンダムマーカー等、様々な疑問にに詳しく回答されているので必見である。